vol.7｜学びのサロン「スタイリング術」

「自分でもできそう」と思えるスタイリングの提案で店販につなげる



20年以上のキャリアを持つ薫森さん。これまで培ってきた経験を同じ時代に生きる美容師さんに還元したいと、仕事への向き合い方や美意識、センスの磨き方について語ってくれることに。 今回は、Vol.5「お仕事道具」で紹介したお気に入りのスタイリング剤を使い、一人のモデルで2パターンのスタイリングを見せてくれることに。“美容師だからできる”スタイルではなく、お客様が日常に取り入れられるベーシックな方法です。



SHI/GE
京都府京都市上京区堀松町419 MACHI WORK 御所西3‐F
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（お問い合わせや予約について、上記の薫森さん Instagramをご確認ください） 
 

えり足を引き締めたショートスタイルがベース。キリッとした目元を印象づけるように前髪を斜めに流し、シャープな毛先で顔を縁取れば芯のあるカッコいい女性像に。 さらっとした軽めのオイルを使い、やりすぎない自然な束感を作るのがポイントです。 一見難しそうですが、オイルを髪全体にまんべんなくつけておけば動きを出しやすいので、お客様ご自身でも思い通りのスタイルができます。

↑〈左〉LIRIO ウォータリーオイル カサブランカ　30ml　3,960円　 〈右〉LIRIO ウォータリーオイル　30ml　3,960円　 サラッとしてのびがいいオイル。スポイト式なので、量の調整もしやすいのがいい。香り違いなので、お好みのものを使って。（撮影／薫森さん）

■ アレンジ１■ プロセス

１．オイルを手に出し、よくのばす

ショートヘアの場合、10円玉くらいの量が目安。最初から多くつけてしまうとベタつくので、少ないかも？と思うくらいでOK。両手をこすりあわせ、指の間までオイルをのばします。
 

2．内側からムラなくつけたら、表面をなでつけるようになじませる

お客様がやりがちなのは、頭頂部から抑えつけるようにオイルをつけること。これはNGです。後頭部の内側からなじませ、表面は手のひらで軽くなでつけるようにつけるとベタッとせず、ふんわり感も残せるので、しっかりと伝えましょう。
 

3．手に残ったオイルをえり足、顔周りにつける

オイルを足したくなりますが、重くなってペタッとするので手に残った少量の油分で十分です。えり足や顔周りの毛先に動きをつけながらなじませます。顔周りは顔側へ流れるように整えながらオイルをつけて。
 

4．前髪は最後につける

前髪を持ち上げながら内側と表面にオイルをなじませます。前髪にオイルをたくさんつけると重たくなるだけでなく、オイリーに見えてしまうので注意しましょう。
 

5．前髪を斜めに流し、全体のバランスを整えて完成

髪を動かしたい方向に流し、形を整えたら完成です。 髪全体にオイルをムラなくなじませれば、それだけでナチュラルな束感とツヤが出せるので、つける量と順番をお客様にしっかりと説明しましょう。

オイルよりもセット力があるバームでくっきりとした束感と毛先の動きをつけました。躍動感が出てカジュアルな雰囲気に。サイドを耳にかけることで女性らしさも表現できます。甘くなり過ぎないよう、えり足の毛先をハネさせるのがポイントです。 バームも使う量が多すぎるとベタッとして清潔感がなくなり、髪のボリュームもなくなってしまいます。髪の長さによって使用量が異なるので、お客様に適した量を伝えられるようにしましょう。
 

↑LIRIO ウォータリーバーム　60g　3,740円
なめらかにのびてベタつかないので、バームを使い慣れていない人におすすめ。（撮影／薫森さん）

■ アレンジ2■ プロセス

１．パール1粒大をとり、体温で溶かしてのばす

ショートヘアならパール一粒大。小指で軽くすくい取れる量が目安です。


バームは固形なので、手のひらで包むように温めて溶かします。指の間までのばして、かたまりがなくなるまでムラなくのばします。

 

2．髪表面に軽くなでつける

頭を抑え込まないように、髪をやさしくなでながら表面につけます。
 

3．手のひらで毛束をはさんですり込む

内側にもしっかりとつけたいので、毛束を両手ではさんでこすり合わせながらバームをつけます。大胆に行ってOK。前髪はベタつかせたくないので、最後につけましょう。
 

4．頭頂部から放射状に散らしたら、毛先に動きをつける

髪全体にまんべんなくバームをすり込んだから、頭頂部から髪をふって放射状に散らします。手をひろげて根元から髪をふりふりすると、自然と毛流れが整います。 ところどころ少量の毛束をつまんでねじり、束感を作りましょう。えり足は毛先をつまんで外ハネにするとスタイルのアクセントになります。
 

5．サイドは耳にかけ、前髪を流して整えたら完成

鏡を見ながら、前髪の形を整えて仕上げましょう。



両サイドは耳にかけ、もみあげを薄く残して指先でつまんで束感と動きをつけることで顔の形もバランスよく見えます。束感が際立つのでメリハリのあるスタイルに。 バームもつけすぎに注意です。しかし、「つけすぎない」ばかり伝えるとお客様は表面に軽くつけるだけになりがちなので、内側からすり込むようにつけることを説明できるといいですね。

スタイリング剤をお客様におすすめするときは、特別な使い方ではなく毎日のスタイリングに使える方法を一緒にお伝えすることが大切です。これはマンツーマンでできるひとりサロンの特権かもしれませんが、「新しいオイルがあるんです」「これ、いいですよ」と言葉だけで説明しても、お客様の購買欲をそそるのは難しいもの。「使ってみたい」「私にも使えそう」と思ってもらえるように実践をまじえた説明をすることが大切だと思います。

 

（2025.02.22　撮影／廣江雅美　取材・文／岩淵美樹）※掲載商品は全て薫森さん私物です。

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