vol.5|学びのサロン「お仕事道具」
ひとりサロンだからできる、自分で使って納得できたものだけを厳選
20年以上のキャリアを持つ薫森さん。これまで培ってきた経験を同じ時代に生きる美容師さんに還元したいと、仕事への向き合い方や美意識、センスの磨き方について語ってくれることに。今回は、美容師にとって欠かせない道具について。愛用のシザーや、厳選したスタイリング剤などを紹介してくれました。
SHI/GE
京都府京都市上京区堀松町419 MACHI WORK 御所西3‐F
Instagram
@magemori
(お問い合わせや予約について、上記の薫森さん Instagramをご確認ください)
美容師の命ともいえるシザーとレザー
↑〈左〉三和技研工業のシザー 〈右〉フェザー安全剃刀のレザー
僕はシザーとレザーを組み合わせて使っています。
シザーは形をしっかりと作るために使います。例えば、切りっぱなしボブやぱつんと切り揃えた前髪など、ブラント感を出すのに適しています。 レザーは毛先の動きをコントロールしたり、毛量調整をしたりするときに使います。クセを抑えることもできますし、やわらかい動きを引き出すのにも適しています。長さをカットしながら毛量調整ができるので、時短にもつながります。
東京で最初に勤めたサロンではレザーカットをたたき込まれましたので、シザーよりもレザーのほうが使いやすく、僕らしいスタイルが作れると思っています。
軽くて風をコントロールしやすいお気に入りのドライヤー
↑ホリスティックキュア マグネットヘアプロ ドライヤーゼロ ブラックプラス
気に入りすぎて、セミナーなど出張のときにも持参するくらいのドライヤーが「ホリスティックキュア マグネットヘアプロ ドライヤーゼロ」です。 使い始めのころは、風の吹き出し口が細いのでは?と思っていたのですが、狙ったところに風を届けることができるので美容師だけでなく、お客様にとっても使いやすいドライヤーだと気づきました。
風量がパワフルだから、乾きが速いのもいい。風量と温度を細かく調整でき、水分を逃がさずツヤのある髪に仕上がります。
プロ用は重たいイメージですが、これは軽いので疲れません。
東京のサロン時代はアシスタントがドライをするので乾かし方をていねいに説明する機会がほとんどありませんでしたが、今はマンツーマンなのでイチからお伝えするようにしています。 せっかく素敵にカットしたのに、家で再現できないのはカットした僕も残念ですから。
仕上がりがワンランクアップするスタイリング剤
↑〈左〉ルシケア トリートメントフォームF 280g 1,870円/リアル化学
〈右〉トリエ スプレー8 170g 1,760円/ルベル
さまざまなスタイリング剤を使ってきて、これさえあれば僕のお客様には対応できるというアイテムを絞り込みました。 ちなみに、僕のお客様は40〜50代が多く、髪質に変化を感じている方たちです。
ルシケアのトリートメントフォームFは、以前勤めていたサロンのスタッフで開発に携わったものです。みんなでこだわって作ったので、自信を持っておすすめできるアイテムです。
特にパーマをかけた髪やクセで広がりやすい人に適しています。タオルドライ後にもみ込んでおくと、仕上がりはしっとりするけど重くならず、ちょうどいい束感が生まれます。パーマのカールもしっかりと再現できます。 髪が乾燥しやすい、ゴワゴワする人にも保湿剤としてぴったり。髪にツヤが生まれるので、髪の土台作りに使ってほしいアイテムです。
トリエのスプレーはメジャーで、使っている人も多いのでは。セット力があるのに、パリパリせず指通りがいいんです。手ぐしを通しても白い粉が浮いてこないのもいい。髪にハリが出るので、ペタンとしがちな40〜50代のお客様にぴったりです。
ナチュラルコスメブランドのオイルとバームが最近のヒット!
↑〈左〉LIRIO ウォータリーオイル カサブランカ 30ml 3,960円
〈右〉LIRIO ウォータリーオイル 30ml 3,960円
ヘアオイルのブームが10年ほど前に起こり、ヘアケアの定番アイテムになりました。保湿だけでなく、スタイリング剤としても活用できる便利なアイテムですが、オイルの質がよくないと酸化してイヤな臭いが発生してしまいます。また、重いオイルを使うとベタッとしてスタイルが決まらないことも。
オイル選びは難しいのですが、素敵な商品に出会うことができました。
それが「LIRIO」(Instagram
@lirioskincare)
です。スキンケアブランドが海外でも活躍するヘアスタイリストと共同開発した商品なので、使いやすさは抜群。
テクスチャーはさらっとしていてベタつかず、仕上がりも軽やか。香りも香水のように変化していくので、朝と夕方で違いを楽しめます。髪を乾かす前の保湿剤としてだけでなく、スタイリングの仕上げにバームと混ぜて使うのもおすすめです。
↑〈左〉LIRIO ウォータリーバーム 60g 3,740円
〈右〉LIRIO ウォータリーグリース 120g 3,300円
https://lirio.co.jp/
大人世代からは、ベタベタすると敬遠されがちなバームですが、ウォータリーバームは適度なツヤを与えながらまとまりのいい髪に仕上げてくれるので、使いやすいと思います。かたくて取りにくいということもなく、手にベタベタ残ることもないのもうれしい。 オイルとバームを1:1で混ぜると、自然な束感とウエットな質感が出て今っぽく決まります。
グリースはジェルとワックスの中間のようなテクスチャー。乾燥して広がる髪を抑えるのに便利。パリパリと固まることはないので、安心を。セットし直すこともできます。髪や肌にやさしいことも重視されているので、シャンプーしてもなかなか落ちないということはありません。
LIRIOは成分や使いやすさへのこだわりを感じるだけでなく、洗練されたパッケージもお気に入り。サロンに置いておいても、インテリアを邪魔せず、空間にすっとなじんでくれます。
僕はあまり店販を意識したことがないのですが、ひとりサロンになってからお客様一人一人とじっくり向き合って施術をすることで、「同じものを使いたい」「これは購入できますか?」と言われるようになりました。
よく「再現性」といいますが、美容師のカットだけでは限界があります。お客様自身がスタイリングできないと難しい。だから、自然と事細かく説明をするようになりました。それが店販につながっていたのです。買っても使いこなせないと思わせるのではなく、使いこなせるように説明をしてあげることが大切なんだと気づかされました。
(2024.10.17 写真は全て薫森さん提供 取材・文/岩淵美樹)
※掲載商品は全て薫森さん私物です。
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