【連載 vol.10 】香川県小豆島「ヤマサン醤油」のエキストラバージンオリーブオイル

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今やオリーブオイルは日本人の食生活に欠かせない存在になりました。あらゆる料理に使えると言っても過言ではありません。しかも美容と健康によろしく、私自身、知識を深めるほど、オリーブオイルのない生活は考えられなくなりました。今回は、オリーブの栽培から手がけ、品質に徹底的にこだわる小豆島のオリーブオイルをご紹介したいと思いますが、その前に。まずはオリーブオイルが私たちにもたらしてくれる健康効果からお伝えします。



脳はアブラを欲しがっている。

言うまでもないことですが、人間が生きていくためには栄養素が必要です。なかでもエネルギー源となり、体の組織を作る働きをするうえで欠かせないのが「糖質」と「脂質」と「タンパク質」の三大栄養素。炭水化物を抜くダイエットが流行ったり、やみくもにアブラを嫌う人がいたりの昨今ですが、本来は体内で不足してはならないものです。

今日はオリーブオイルのご紹介なので脂質のお話をしますが、とくに脂質を必要とするのが脳。脳は水分を取り除くと60%が脂質でできているからです。とはいえ脂質には種類があり、何をどう摂るかで益にも毒にもなります。一般的に益となり得るのは、悪玉コレステロールを減らし、血管をしなやかに保つ働きが期待できる植物性油。ただしそれもオールOKではありません。

例えばサラダ油。使い勝手は良くても、摂り過ぎると害になるリノール酸が含まれています。話題の亜麻仁油。体にはとてもよいのですが熱にとても弱く、すぐに酸化が始まってしまいます。そうやって見ていくと、軍配が上がるのはやはりオリーブオイル。酸化しにくく、熱にも強く、私の中でも総合評価NO.1の油です。

 


毎朝、オリーブオイルを大さじ1杯。日課です。

オリーブオイルは、美と健康に良い効果をたくさんもたらす「一価不飽和脂肪酸」を豊富に含むオイルです。善玉コレステロールは減らさずに、悪玉コレステロールを減らすオレイン酸が豊富で、ポリフェノールなど、人の体に良い多種多様な抗酸化成分も信じられないほど多く含んでいます。アブラを摂ることを心配するどころか、摂ることで血管がしなやかになり老化予防や美肌につながるって、すごくないですか。

しかもオリーブオイルは、オリーブの実を絞った天然のジュースです。そのまま飲むのもOK。私は毎朝、大さじ1杯飲んでいます。だからこそ一層、香りや味に妥協ができないのですが、目下、悪玉コレステロールの心配はゼロ。抗炎症作用もあるので、喉が痛い時はうがいに使うこともあります。便秘の改善にもなります。


 

国産エキストラバージンオリーブオイル、私のイチオシ。

さて、今回私がご紹介するのは、小豆島で江戸時代から続くお醤油屋さん発のオリーブオイルです。私はここの商品を知ってから、国産オリーブオイルに対する認識が俄然変わりました。「日本ってすごいな」なんです。オイルソムリエとしても、価値を伝えていかねばと思っています。

ここからはチームを率いる佐藤潤さんにお話を聞きながら、進めていきますね。



↑1846年創業の「ヤマサン醤油」。敷地内の建屋は国指定の有形文化財。


小豆島は国産オリーブオイルの聖地。

佐藤
どうぞよろしくお願いします。「ヤマサン醤油」の佐藤と申します。文字通り本業は醤油屋です。それも小豆島では一番古い醤油屋です。

吉川
小豆島は言わずと知れたオリーブの島ですが、お醤油屋さんがなんでオリーブオイル?っていうところから入りましょうか。

佐藤
島でオリーブの栽培が始まったのは今から114年前。1908年(明治41年)に、国の発案で香川、鹿児島、三重の3県で試験栽培が行われ、そのうち小豆島に植えたオリーブだけが順調に育って搾油に成功したというのがきっかけです。

吉川
うまくいった理由は、やはり日照時間が長くて降水量が少なくて、地中海に似ていると言われる気候ですか。

佐藤
そうですね。雨は天敵なので。ただ成功したとはいえ、生産量は少なくて島の風土を生かしきれていませんでした。そこで植栽100周年に向けて、もっと増やそうと、我々にも話がきたんです。オリーブを植える土地があって、醤油屋は忍耐強いと言う理由で。

吉川
忍耐? 

佐藤
オリーブは実がつくまで5年はかかります。「あんたらなら醤油作りながら、気長に頑張れるだろう」って。醤油は再仕込み醤油となると熟成に3年かかります。「3年も5年も一緒だ」みたいな。実際1999年に木を植えて、事業化できたのは2006年。僕はそこから加わりました。


Profile
ヤマサン醤油株式会社 専務取締役
農業生産法人 せとうちビオファーム 代表取締役
佐藤 潤(さとう じゅん)さん 

商社マンを経て、小豆島へ移住。創業から176年の小豆島最古 の醤油屋「ヤマサン醤油」に入社。オリーブの栽培においては土壌作りに精魂を込め、外国産に近づくのではなく、 小豆島の風土を生かしたオリーブオイルを作るべく、情熱を注いでいます。2012年には日本初となる「オリーブ 農園」と「加工場」の有機JAS認定を取得。

 

植栽から11年目の洗礼を受けたからこそ、今がある。

吉川
植栽から7年、確かに普通の企業じゃ、持ちこたえられませんね。

佐藤
おっしゃる通りです。小豆島がオリーブの島になれたのは、俗に言うスローライフも大きかったと思います。良いものを作るには、人の手以上に環境や時間が必要。島にはその考えが当たり前に根付いていました。さっさとやると「そんなに早くやるな」と言われたことも。

吉川
気候だけではなく、小豆島の地域性もオリーブオイルづくりに大いに役立っている。島時間が作る的な。効率だけを求めていたらできていなかったかもしれない。すごく面白いですね。今回の話のキモですね。

佐藤
なのに新参者の自分は、頭ではわかっちゃいるがイケイケで。研修に行ったトルコのやり方を真似したり。よかれと思うことをバンバンやった。で、バンバン結果も出たんです。ところが2010年、収穫量が全盛期の10%に激減。オリーブは植え付けから10年は、何をやってもうまくいくと言われているのですが、それを思い知らされる事態に陥りました。良かれと思ってやっていたことも、実はどうでもよいことで、自分らの実力ではなかった。

吉川
みごとに11年目。原因は?

佐藤
オリーブの枝や葉ばかり見ていて、土壌の管理が全然できていませんでした。まわりの草や虫も含めた土の環境を理解することが、必要だったのに。「もったいない病」もかなり重症でした。

吉川 
もったいない病?

佐藤
一般的にオリーブは最初3m間隔で植えて、成長に伴って植栽から8年目くらいに1本間引いて6m間隔にします。でも、その頃ってめちゃめちゃ実をつける時期で、もったいなくて抜けない。でも、そのままだと隣同士の根はくっつくわ、互いの成長は妨げるわで、結果として抜かない木も傷めてしまいます。

吉川
そっちの方がもったいない…。

佐藤
そうなんです。それで「もったいない病を克服するには、もうこれしかない。僕らは新たに植えるときは、最初から6m間隔に植えよう」と。


↑6mピッチでオリーブが植わっている自社農園。害虫被害などで枯れる木もあるので、リスクは高い。
 

1本の成木から搾れるオイルはわずか500ml。

吉川
今、農園にはどれくらい植わっているのですか。

佐藤
約2000本です。小豆島では伝統的なミッションとルッカという品種にこだわって、単一品種のオリーブオイルを作っています。

吉川
搾油量はどのくらい?

佐藤
成木1本から摂れるのは500mlくらい。商品5本分、いくかいかないかです。

吉川
えっ、少なすぎる。

佐藤
一粒ずつ手摘みして、さらに少しでも傷みがある実は取り除いて搾油しているので。搾油も機械の特性上、搾り始めのオイルは香りが弱いのでロスもありますが、 “エキストラバージン”として認めるハードルを、自分たちで高くして(笑)

吉川
でもだからこその信用。私、オリーブの実を摘みに行ったことあるんです。登って梯子かけて摘むだけでも大変ですが、そこから傷んだものを取り除くことがどれだけ大変なことか。やったことがあるのでわかります。

佐藤 
味や香りにめちゃめちゃ影響があるので搾り始めのオイルは使わない=うちが製造する全ロットの品質保証です。正直、ハズレは100%ないです。よく収穫から搾油までの時間を聞かれますが、うちは36時間以内。

吉川
欠陥果実が入っていないので、慌てて搾油所に持っていかなくてもいい。そこにも島時間が流れていますね。

佐藤 
大量生産の海外は大概6時間以内なので、「それって遅すぎません?」って言われます。でもそれは「6時間で搾らなければいけない果実は使っていません」という意味でもあります。実際、科学的に証明されているのですが、傷みのない果実は収穫から1時間後も4日後も酸度は基本変わりません。


↑オイルの品質を決めるのは、なんといっても果実。少しでも傷が付くと酸化が進んでしまうので、傷を付けないよう一粒ずつ手摘み。さらに選果を行い搾油。搾油は風味を大きく左右する工程です。

コーヒーで言うところの、シングルオリジン。

↑エキストラバージンオリーブオイルは、化学的な処理は一切せず、オリーブの果実を搾ってろ過しただけのバージンオイルの最高峰。香りや成分の基準を満たしたものだけが名乗れます。写真はヤマサン醤油のエキストラバージンオリーブオイル。(左)ミッション、(右)ルッカ。各 108g 3,240円(税込)。ラベルからも一目で日本製とわかります。

吉川
ミッションとルッカ、ブレンドをせずに品種ごとに商品化しているのも、佐藤さんのこだわりなんですよね。

佐藤
単一品種で絞れば、その農園のオリーブの木の個性が顕著に表れます。個性的な味わいが楽しめます。いろいろな地域で採れた品種をブレンドするのが一般的ですが、オリーブは人が作るのではなくて土壌が作る。その手助けをするのが自分の使命だと思っています。自園・自製・自販のオリーブオイルでテロワールを追求していきたいですね。

吉川
実際、ミッションとルッカは新鮮さと繊細さは共通していますが、味と香りは全然違いますよね。

佐藤
ミッションは若草のような香りで、辛味、苦味が強め。ルッカはフルーティで辛味は弱め、苦味も弱め。マイルドなイメージなので、初めての方はルッカをお選びいただくのが良いと思います。

吉川
そうですね。そして舐めてみれば、エキストラバージンオリーブオイルと言っても、良し悪しがあることもわかると思います。最後に私のキッチンから何品かご紹介して終わりますが、10月11月はまさに収穫の時期。来年1月に2022年度分の出荷が始まります。ボジョレーヌーヴォーのように、私は毎年この時期になると「ヤマサンヌーヴォー」が楽しみでなりません。



とある日の吉川家のディナー。

↑あまりに良いオリーブオイルなので、本来は加熱せず、生のままかけるのがベストです。(左)イカと里芋のパスタ。コンソメにオリーブオイルを入れオイル煮したスープに、パスタと一緒に茹でた里芋を入れました。仕上げにオリーブオイルを回しかけて完成!(右)焼き舞茸。オーブントースターで焼いた舞茸にオリーブオイルを。すだちと醤油少々で仕上げました。どちらもミッションを使ったレシピです。


吉川
オリーブオイルは出汁のようなもの。単にかけるだけでも旨みがUPしますので、もう何にでもかけてください(笑)。冷えたお弁当も美味しくなりますよ。



 

2022.10.1 (文/野村始子 写真提供/ヤマサン醤油株式会社)

 

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